第12章 十二朝
「よく抜け出せたな、鎖羅」
「迷惑かけてすみません、私が弱いばかりに抗えませんでした……」
「テメェら反省は後だ。」
アジト中に重々しい空気が流れる。他のメンバーは二階にいるはずだ。危害が及んでしまう前に何とか食い止めなければならない。
「まったく……サソリさん、アナタの犬だったならちゃんと躾ておくべきでしたね」
「コイツは俺の元を離れて大蛇丸の所へ行った。まあ今や……同化しちまった様にも見えるが」
「あまり時間をかけると僕にも都合があるんでね、早めに終わらせたいんだけど…」
男の袖からヌルリと這い出た大蛇は、黄色い目で四人を一瞥すると大口開けてサソリへ襲いかかった。三代目の傀儡が叩き落とし、手首から突き出た刀で蛇ごと地面へ突き立てた。
そして蛇は耳の奥で残り続けるほど嫌な断末魔を上げながら、じたばたと身をくねらせて絶命した。
「……鎖羅、小南の所へ行け」
「そんな…ッ!私も戦います!」
「その場限りで発言するんじゃねぇ。ちゃんと考えろ。勝とうが負けようが、この事態をリーダーに報告しねぇで何が組織だ。」
「見くびってもらっちゃ困りますよ鎖羅さん。元々は、こういう事が大好きな私たちですし……」
鬼鮫の手に握られた鮫肌が男の膨大なチャクラを感じ取って嬉しそうに身を震わせている。
三人の纏う雰囲気が一変した。
恐ろしい程の殺気にあてられ、鎖羅は震える手で武器をしまう。
(こんなの…見たことない)
デイダラが手を振ると、鎖羅のすぐ横の壁に大きな蜘蛛が張り付いた。一瞬の爆発に鎖羅は顔を覆い隠す。ぽっかりと空いた穴は人が一人通るには十分だった。
「行け!!!」
「ッ…す、すみません!ご武運を!」
男は引き止めることもせず、穴から走り去っていく鎖羅をニンマリと見送った。