第12章 十二朝
アジト入ってすぐの共同部屋ではサソリ、デイダラ、鬼鮫が居た。鎖羅が強ばった表情で帰ってきたのを見ると、様子がおかしいことを察知する。
その中でも、サソリは真っ先に三代目の傀儡を出した。鎖羅の首に巻かれている白い蛇を見、腹の底から一気に闘争心が湧き上がる。
「クク……大層な身なりになって来やがったじゃねえか」
「サソリ様……いや、サソリ。人間になったと聞いてはいたが、喧嘩っ早い性質はそのままのようだね。」
鎖羅の首の蛇が締まりを強める。
苦しみながら膝から崩れ落ちた様にデイダラは手のひらの口で粘土を捏ねる。
鎖羅は各々のエモノを構え、後ろの男にすぐにでも食ってかかりそうな三人を仰ぐ。特に頭に血の上りやすいこのメンツが、攻撃を躊躇っているのは何故なのか。無様に人質にとられたこの状況では至って明確であった。
鎖羅は一か八か、素早く腰から武器を取り出して首元の蛇の頭に銃口を当てる。勢いに任せてチャクラを練ると、水弾が高速で打ち出された。
「……おっと」
巻きついていた蛇は力なく首から滑り落ちる。幸いにも、弾が喉を掠めた傷だけで済んだ。
すぐさま体勢を立て直してデイダラの元へ向かう。今まで背後にいた男の身なりは、濃い紫のローブに身を包み、フードから見える顔つきはまさに蛇の化身のようであった。