第12章 十二朝
崖下に流れる川は普段よりも流れが早いように感じる。ゴツゴツした岩壁に沿った階段を、抜け落ちた所を飛び越え、崖上へたどり着いた。
アジトの入口を塞ぐ岩に手をかざす。次の瞬間、鎖羅の首を何かが軽く締め付けた。
「……ッ」
「やあやあ、任務お疲れ様。」
ゆっくりと手をおろし、首に巻きついた何かに視線を下ろす。白い蛇だ。
「おっと、こちらは振り向かないでくれよ。そのまま入口を開けるんだ……。従った方が身のためさ。」
ゴクリと生唾を飲み込む。ひんやりとした蛇の表皮がそれを感じ取ったかのように蠢いている。
鎖羅は冷や汗を流しながら、今日の非番を思い出す。しかし、不運なことに全員がアジト内にいることが分かった。
「……手間を取らせないでくれよ」
「ひ、ッ!うぁ!」
太ももを蛇が駆け上がり、横腹を擽りながら右腕を締め付けた。牙を向いて、舌をチロチロと遊ばせている。嫌悪感に何も出来ずにいると、蛇はじんわりと熱を持ち始め、巻き付かれた腕が勝手に持ち上がっていく。
チャクラが練られていく。岩は鎖羅の意志とは真逆に、アジトの入口を開いた。