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邯鄲の夢【NARUTO】

第12章 十二朝



一面の銀世界は、陽の光を受けて更に輝いている。
枯れた木が乾燥に耐えぬくためにお互いの枝を擦り合わせながら、往来の両脇に佇んでいる。

その中でもひときわ太い幹の裏で、鎖羅は真っ白な外套に身を包み、足元の雪を一握り掬った。

さく、さく、と人の足が柔らかい雪を踏み抜く音が聞こえる。
手の体温で溶けてしまわぬうちに、握って固めた雪の固まりを口に含んで隅々まで冷やしきる。

男女が二人。年齢はおよそ30代。

里を抜けた者同士で徒党を組み戦争への道を支持している組織は数え切れないほどいる。そういった有象無象の頂点がS級犯罪者の集団、暁であった。

だが、それも過去の話。
今まで目の上のたんこぶであった暁が国家専属の傭兵集団へと肩書きを変えたのをいい事に、虎視眈々と覇権を狙っていた組織が急激に力をつけて水面下で動き出していた。

今の二人も、今マークされている組織の下っ端である。火影の情報によれば、この組織とは別の力をつけ始めた者たちに書簡を届けているらしい。

今回単独で与えられた長期任務は、宿を点々としながら下っ端の動きを追い、書簡を奪うことである。


鎖羅は冷えた口を閉じ、耳を澄ます。
鼻から漏れる息さえも悟られないようにフードを深く被った。
右から聞こえる足音が、鎖羅のすぐ後ろを通り、そして左へと遠ざかっていく。

さくり、さくり
最後に雪が踏み抜かれた瞬間、鎖羅は往来へ飛び出して背後から男の首に片腕を回して引き寄せた。そして、片方の手で力いっぱい頭を捻って首の骨を折る。静かな積雪の中に鈍い音が響き、倒れた男は目を見開いてこちらを見ていた。



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