第11章 十一朝
サソリの部屋は、障子越しに光が透けていた。
重い何かが倒れる音に、サソリは作業の手を止めて音の方向へ目を向ける。
のそりと影が動いた。高さからして人には見えないが恐らく倒れているかしゃがんでいるか。
ゆっくりと指先からチャクラ糸を伸ばし、傍に掛けてあった傀儡の中から一体を適当に繋いで身体に寄せる。
静かに蝶番が開く音がした。傀儡の手からスラリと伸びる刀が、光を受けて怪しげに光る。
「……ッ!!」
勢いよくチャクラ糸で障子を開けると、振りかざされた刀に目を見張っている鎖羅が息を飲んでいる。
「なんだテメェか」
刀を納め、しゅるりと糸を引いて傀儡を元に戻す。脂汗を浮かせた鎖羅の肩は酷く震えていた。
サソリは作業台の前から動かず、また手元に目を戻す。
「体調が悪化したのか?なにか悪いもんでも食ったんじゃねぇの」
「目………目が」
「目?」
サソリは手を止め、廊下に這っている鎖羅を部屋へ寝かせる。目が、とブツブツ呟いているが、鎖羅の目にはなにも異常はない。