第11章 十一朝
「わお……」
「白ゼツ10万体だ」
木の枝にぶら下がるようにして夥しい数の白ゼツが生成されている。
「全て戦闘用に特化した個体として生み出されている」
「凄いね、これには驚かされたよ。……あと外道魔像かい?」
「そうだな。………いや、こちらで暁内で一人声をかけた奴がいる。そいつとゼツも加わるだろうな」
二人は再度外道魔像の元へ戻る。
「さて、俺の手札はこんなもんだ。」
「本当かな?僕にはまだなにか隠しているように見える。」
男は細長い舌を伸ばす。
「これも戦争の為だ、お前には倍の戦力を期待せざるを得んな」
トビは懐から折りたたんだ羊皮紙を男に投げつける。中を確認した男は満足そうに目を細め、大事そうにしまい込んだ。
「いやぁ、さすがだね。君もさぞかし労力を費やしたろうに」
「口を慎め。次はお前の番だ。」
男は出口の岩へ歩いていく。
「まあ、僕のは今ここにはまだ無いんだ。」
トビは右手を上げる。
「ただ、蛇……いや、今は鷹だったかな?彼らの協力は既に得られるのは確定しているよ。」
男はトビの動きを制止するようにまくし立てた。一度は手を加えようと思ったが、ここまではトビの予想であるため、大人しく手を下げる。