第11章 十一朝
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一人の眠れない男は、朝を知れない腹いせに太陽を奪ってしまった。
朝が来なければ、人は眠らない。
男はそう思ったが、思惑通りにはいかず、人類全員が朝を忘れてしまい目を覚まさなくなった。
男は険しい道のりを超え、ついに神様に悔やんだ。太陽を戻して欲しいと懇願した。
子である太陽を奪われたことに怒り狂っていた神は、さらに男の身勝手な願いに憤り、男の朝を奪った。
夢にまで見たはずの朝は、二度と現実になることは無くなった。
奪われた男の朝は皮肉にも太陽として世界を照らす。
夜に囚われた男はもうひとつの世界を作り出し、それを夢と呼んだ。
孤独な男は夜の間に人々を夢へと連れ込む。
だが、朝を知っている人間たちは朝を知らない男と違って夜に留まることは無かった。
そうして幾百年の年月が経ち、夢に魅入られた一部の人間は彼を現人神とし、キセイと名付け崇め奉るようになった。
その人間たちを夢見一族と言う。彼の血を引いた一族の人間は、太陽を奪った罪を償うことは夢見ることとして血継限界である邯鄲の夢を大成させた。
まさしく、夢見一族は原罪の子らである。