第2章 二夜
「結局大事になってんじゃねえか」
「うるせぇぞ旦那!派手さが命だろ、オイラの芸術はよ」
「待てッッ!!」
ビュッと背後からクナイが飛んでくる。
それをサソリはヒルコの尾で防いだ。
カタカタと傀儡の音がざわめく。カンクロウの指から伸びるチャクラ糸をみてサソリは笑を浮かべた。
「我愛羅は渡さないじゃん!」
「デイダラ……先にいけ」
「させるか!」
再度飛んできたクナイはデイダラ目掛けて飛んで行った。しかしヒルコの尾はもっと長く伸びまた防いだ。
「早く行け」
「任せたぜ、旦那」
我愛羅を掴んだ鳥は空高く舞い上がった。
ヒルコの尾から滴った毒が砂を黒く染めていく。
──────────────
小高い丘に降り立ち、暫く歩いた先にある洞窟の中に入るとデイダラは鳥の上で胡座をかいた。
「ハァーア、いってえ…あれ旦那、もう終わったのか?」
「ああ…なかなか懐かしいモンを出してきやがった」
デイダラは腕の傷口をサソリに見えないように隠す。
「で、コイツ封印して任務完了だっけか?」
「ああそうだ、早くアジトに帰って仕込み直してえな」
サソリのヒルコが開こうとした瞬間、洞窟の天井が地響きと共に勢いよく崩れた。
「しゃーんなろー!」
割れた空の中から瓦礫と共に桜色の髪をした少女と九尾の人柱力、コピー忍者のカカシと砂隠れのチヨが現れた。
「我愛羅を返せ!!」
「おっと……九尾か。旦那!これはチャンスなんじゃねえの?」
「いや待て」
サソリはヒルコの中から砂隠れのチヨを見据えた。
(あの小娘の怪力といい、全員を二人で相手するのには少々荷が重い…)
「デイダラ、ここは二手に別れッ…?!」
『全メンバーへ告ぐ。招集だ、戦闘中の者も中断し即刻アジトへ急ぐように。』
思考が中断され、ペインの声が二人の頭の中で響く。急に黙りこくった暁に、木の葉の忍達は身構えていた。
「リーダーはホンット勝手だぜ…怒らせたらダルいからここは大人しく帰るか?うん」
サソリも同意だと言わんばかりに木の葉の忍達に背を向ける。
「待て!」
「おぉっと」
デイダラの起爆粘土が駆け込んできたナルトの前で大爆発する。カカシが引き戻したが、爆発は洞窟全体を巻き込み、デイダラたちとの間に大きな瓦礫の壁がそびえ立った。
砂埃が晴れた頃には、二人は既に空遠く羽ばたいていた。