第2章 二夜
「ッ………ハッ!!風影様の砂だ!」
我愛羅の砂はまるで花弁のように重なって里を爆発から護っていた。
護っていた卵は欠けて内部から息のあがった我愛羅が覗く。
「はい、射程圏、うん!」
ヒュッ、と耳元でなにかが風を切った。
瞬間顔の横の起爆粘土が爆発した。
「我愛羅ッッ!」
地上からカンクロウの声が響く。
爆発音の後、里は緊張感に包まれた。
「フン、これで終わりと思われちゃあ心外だな!」
「な、なにッ?!」
防いだ砂の中から小型の蜘蛛型粘土が這い出てくる。
「あの時起爆粘土を仕込まれたか…ッ!クソ!」
「喝!!!」
我愛羅を護っていた砂が今度こそ爆発によって破壊される。操者の力を失った砂は里に一気に降り注いでいった。
「…ん?」
と思ったが、気を失った我愛羅だけが落ちていくだけで、砂は瓢箪のなかにするすると戻っていく。どうやら最後の力を振り絞って里に被害が及ばないようにしているようだ
「フーン……」
デイダラは落ちていく我愛羅を鳥の尾で巻き取りサソリが待っている場所まで飛んでいく。
砂の夜空にカンクロウの声が響いた。