第11章 十一朝
「ッ………!」
声が出ない。手が届かない距離に留まり続けている武器がクルクルと回っている。
留まっているのでは無い。確かに同じ速さで落ち続けていた。
身体を反転させ、勢いで武器を掴む。髪が風に舞い上がる。目に入ったのは、綺麗な顔で死んだように眠っている男の顔。
大きな大きな男の体は、手を組んで仰向けに寝そべっている。それに比べてとても小さな鎖羅は男の体目掛けて真っ逆さまに落ちていた。
「キセイ………さま」
声になったのか分からない。ただ、下に寝そべっている男は幼き頃からひとつの心の拠り所としていたキセイ様だと確信したのだ。
キセイ様はゆっくりと目を開く。
あまりの神々しさに、鎖羅は自然と涙した。粒は鎖羅から置いていかれる。
鎖羅の体は宙に浮かんだ。
二本の腕が後ろから自分にすがりついている。
四本、六本、八本、十本、次第に腕の数は増えていく。
肩を掴まれ、腰に回され、首に手を当て目を塞ぐ。