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邯鄲の夢【NARUTO】

第11章 十一朝




鎖羅は最後の文を指でなぞって微笑んだ。
まどろみのように気分が良い。それはまるで、物語の終わりを聞かずに父の声を耳に残して眠りに落ちてしまう瞬間のようだった。

パタン、と本を閉じ顔を上げた瞬間、鎖羅は眼前に吸い込まれそうな濃紺の中、街灯がぽつぽつと灯された市街地が広がっているのに気づいた。
するりと本の裏表紙を撫で、鎖羅は一歩踏み出す。辺りに人が倒れているのを横目に、嫌という程不気味なのに何故だか気分はスッキリしている。

一本の道を歩く足は早まる。
前の男の背に指先が触れようとした瞬間、景色は一変して砂漠に移った。

ここで鎖羅は何かがおかしいことに気づいた。
夜の砂漠は冷え込むのに、それを知っているはずの自分は何も防寒着を持ってきていないのだ。

さくり、さくり、サンダルの隙間に冷たい砂が流れ込んでいく。

大きな荷物を背負い込んだ男は、杖を柔い砂に差し込みながら進んでいる。

鎖羅は数メートル離れた先で男が自分を横切っていくのをただ見ていた。
身体が地中に引きずられていることに気づいたのは、腰に携帯している武器が顔を横切った時だった。



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