第11章 十一朝
報告書を鳶の足に結んで火影宛に飛ばし、二人はアジトへ戻った。トビは用事があると言うので少し身支度を整えまた外出し、鎖羅は若干疲れを感じているがまず禁術を探そうと部屋に入ってコートを脱いだ。
任務に行く前にもあらゆるものをひっくり返して探したので、布団やら服やらが散乱している。あちこち歩き回って片付けていると、拍子抜けする程簡単に禁術の巻物は見つかった。
「………なんでここにあるんだろ」
いつもなら出しておいたりしない文机の下にひっそりと隠れていた禁術をリュックにしまう。何故なのか考えられるほど思考は回らなかったので、大方、朝散らかしていた間に蹴りでもしてたまたま入ってしまったのだろうと半ば無理やり納得させた。
そして、気分転換でもしようと風呂の準備をして部屋を出ると、ちょうど襖を叩こうとしていたデイダラに会う。
「っおお、悪い、ちょっと時間良いか」
「大丈夫ですよ」
風呂敷を小脇に抱え、デイダラさんに付いていく。辿り着いた先はデイダラさんの自室で、必要最低限のものしか置いていない簡素な私の部屋と違い、濁った水が溜まっている大きな桶が部屋の中央に置かれている。その桶を囲うように大小様々でなめらかなフォルムの粘土作品が並べられていた。ちょっとした芸術展覧会の様で、見ているだけで楽しくなる。
「乾いてっから多分大丈夫だけど、たまにちょっと衝撃与えただけで爆発するやつとかあるから気をつけろよ、うん」
「ばくはつッ……?!」
その言葉を聞いて一気に緊張した鎖羅は、作品の間に出来た辛うじて人が立てるスペースに縮こまる。デイダラはそれを見て、書類を整えながら吹き出した。
「ハハハッ!!嘘だよ、ウソウソ。チャクラは練り込んでないぜ」
「だ、騙したんですか!」
「怒るなって、ちょっと冗談こいただけだろ?うん?」
ニタニタと大きい目を細めてデイダラは数枚の書類を鎖羅に手渡した。ひと通り目を通して立ち上がろうとすると、手にちくりとした痛みが走った。