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邯鄲の夢【NARUTO】

第11章 十一朝



鎖羅はしゃがんで血溜まりを指でなぞった。砂と混じってボロボロと赤い塊が砂になって指先を滑り落ちる。かなり時間が経っているようだ。

「死体が無いのが妙ッスよね」

「誰か持ってっちゃったんでしょうか、角都さんみたいな賞金首狩りの人とか?」

「いや、ここに配置されてた忍は普通の滝隠れの警備部隊でしたから、その線は無いかと」

施設の奥へ続いている廊下は、壁を走る剥き出しになった配管からぽたぽたと水滴が落ちる音が響いていた。明かりはなく、一定の距離毎に壁の上部に付けられたかがり火の中の灰はすっかり湿っている。
暗視に強いトビはずんずんと歩みを進めていく。鎖羅は壁に手を沿わせながら、前を歩くトビの影に目を凝らしていた。

着いた先の階段を慎重に降りると、更に湿度を増した広い空間が鎖羅達を迎え入れる。中央には医療で使うような寝台に、辺りには点滴のパックとスタンドが転がっている。


「もう結構時間経っちゃってるみたいスねー」

トビが拾い上げたパックは水滴ひとつなく、砂にまみれてカサカサと音を立てた。

鎖羅は慣れてきた目を凝らしながら、床に手を当ててゆっくりと寝台へ向かう。その傍らにある長机の上にたくさんの本が投げ出されているのが見えた。



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