第11章 十一朝
「トビ〜……随分情熱的だったね…」
口を開いた緑の外殻からニヤついたゼツが現れた。トビは何も言わずに仮面を戻し、奪ったコートを広げる。
「イタチめ……手の早い男だ」
「これ、何?」
立襟の裏地に小さく刻まれた印をゼツは覗き込んだ。かなり注意して見なければ分からないほど、気づきにくい場所だ。先程鎖羅を脱がした時、トビはこれを見逃さなかった。
「モウ“アノ場所”ニ気ヅイテルッテコトカ…」
「やはり結界を貼っておくべきだったな。俺としたことが……」
「ねえ、これなんなの?」
「イタチのチャクラが込められた印だ。何らかのアクションを感知するとその情報がイタチへ知らされるようになっている。写輪眼と見て良いかもな……」
スッ、と目を伏せ写輪眼を引っ込める。トビが印に手を被せてゆっくりと撫でると、刻まれた印はたちまち消えていった。
「!」
チリッとした痛みと共に、トビの右の手袋に同じ印が浮かび上がった。とっさに手袋を脱いで手首を折ると、ドロリと肉が溶けた。
「あ〜あ……」
「後で代わりを持ってこい。行くぞ、ゼツ」
「…………」
三つ巴が回転する。
月明かりに照らされた橙の仮面の中から、赤く写輪眼が光った。