第11章 十一朝
「はぁ……じゃあ、私は部屋に戻りますね……」
「あっ、待って!イタチさんのコート、ボクが洗って返しておきますね!」
濡らしちゃったものボクだし、と続け、トビは去っていこうとする鎖羅の身体から外套を剥ぎ取った。そして自分のコートの裾を摘んで顔を覆い隠すと、まるで手品のように突然現れた新品の外套を鎖羅に差し出した。
「す、すごい…!」
「へへ、暇なんでちょっと練習してたんス。はい!」
サイズぴったりのコートを受け取り、羽織って鎖羅はその場を後にした。火照った体にひんやりした廊下が心地よかった。