第11章 十一朝
「うおッ、ビックリしたなァ!」
「ひゃ!デイダラセンパイ!」
忍装束姿で小脇に包みを抱えたデイダラは、廊下の柵にぶつけた二の腕を擦りながらトビを軽く蹴る。
「あ?お前そこ鎖羅の部屋じゃねえか。何してんだ?うん?」
「いやぁ〜ちょっとね……センパイだってサソリさんと積もる話をする時、あるでしょ?」
「いやねぇけど……」
「そっスか」
疑惑の視線をひしひしと身に受けるトビはヘラヘラと笑い声を上げながら誤魔化す。デイダラは掴みごたえのないその様子にため息をついて、抱えていた包みを押し付けた。
「これ新しい外套。鎖羅にも渡しとけ」
バサッと広げると、慣れ親しんでいた赤雲の外套が真新しい糊の匂いを香らせた。
「小南さんも健気っていうかなんというか」
「大事なモンなんだろ」
デイダラは外套に腕を通す。スナップボタンを止めると、着慣れた様子で腕を捲った。やはりこっちの方がしっくりくるらしい。
「そういえばデイダラセンパイはそんなに拘束期間長くなかったんスね」
今アジトに帰って来れているのは、ペインの後継者として雨隠れの長となった小南、無罪となった鎖羅とイタチ、記録が一切無いのと混乱していた為に拘束の手をすり抜けられたトビとゼツ、早々に査問を終えたデイダラ、この六人であった。
その他のメンバーは未だそれぞれの所属していた里にて拘束されている。さぞうんざりしていることだろうとサソリの顔を思い浮かべると、デイダラは自然と笑みがこぼれるようだ。