第11章 十一朝
視界が晴れる。
今までにないくらいスッキリした目覚めに、辺りを見渡すと見慣れない景色。天井は薄汚れた金箔に深い朱色の木が格子状に張り巡らされている。やはり同じように朱色で造られた襖は、外の光を薄く受け止めていた。
新しいアジトの修練の谷、一人一人に割り振られた部屋はまるで里の本殿のようで安心感がある。
軽く支度を済まし、部屋を出る。岩を切り開いて造られたここは、廊下が外に面していてとても開放感があった。
「…そうだ、綱手さんは昼過ぎには帰ってくるんだった」
崖上へ続く階段を登る。木の葉の里まではそう何十分もかからない。
火の国の働きにより、各里へ身柄が拘束された元暁メンバーたちは厳重な監視の元に火影直属の傭兵として活躍することを許された。本来なら死刑になる数々の罪が清算された訳では無い。だが、二度と敵に回したくない各里の気持ちとしては一致し、これからの防衛を鑑みても断頭台の紐を握る事で条件を飲んだようだ。
そして鎖羅は今、綱手より呼び出され火影の執務室へ入った。中は真新しい木の匂いが充満している。言われた通りに書庫へ向かって行く。
「失礼します。」
「お早う鎖羅。書庫で悪いな」
鎖羅は促されたソファに座った。背後にはアーチ状に本が所狭しと並び、綱手はその中から一冊を取り出す。