第11章 十一朝
正犯の死亡により、終わりを迎えた木の葉襲撃事件。早くも木の葉の里は復興の兆しを見せ、人々は生活を取り戻し始めていた。
そんな今日、雨隠れの会談場では何年ぶりかの晴天の中、綱手と小南は円卓で見合っていた。
「まあ……言い難い事だが、国の上役にはかなり反対された。だがお前達がやってくれた事は十分に減刑の材料になれるだろう。」
「そうか。各里へ嘆願書を提出してくれた事も既に聞いている。この場を借りて感謝を述べよう。」
シズネは懐から巻物を取り出し、円卓の中心に広げる。つらつらと繋ぎ文字で題されているのは、雨隠れと木の葉の和平調停である、“雨余協定”。内容は鎖羅とイタチが綱手へ説明した通りだ。
両者は巻物にサインをし、印を押す。
今、公式に両里の平和は約束された。
「明日は砂、明後日は岩と霧、明明後日に滝と湯で査問会が開かれる。通達は木の葉から追って届けるとしよう。」
「鎖羅とうちはイタチはどうなる?」
「その二人の査問会は既に終わっている。ビンゴブックからは除名された。あとはその巻物通りだよ。」
綱手は椅子を引いて立ち上がる。
ジメジメとした空気が好かなかったが、もう長く降り続いていた雨は止んで里はどこか明るくなっているように思えた。
「そうだ。各アジトはもう閉鎖しちまうんだろ?」
「ああ」
「里の外れに修練の洞窟がある。大きな川に沿った崖の内部に住居施設が建てられている。自来也や四代目が泊まり込みの鍛錬に使っていたから、十分な部屋数はあるはずさ。古臭い神社の様な作りだけどきっと新しい住まいとしては役に立つはずだよ?」
綱手は小南にニッと笑いかけた。同じように、小南は柔らかく笑みを浮かべる。
「ありがとう」
「自来也のお礼さ。」
背を向け、ヒラヒラと手を振り綱手は去っていく。
小南は窓から飛び出し、ペインがよく里を一望していた像の上へと舞い降りる。
入り組んだパイプがあちらこちらに走っている建物は、日光を受けてキラキラと反射していた。
もう、雨を降らせる必要も無い。
小南は薄く目を細め、空を仰いだ。