第10章 早暁
「今回、ペインを相手に命を賭して戦った暁のメンバー達全員、もう一度暁として活動することを許して欲しいです。」
「!!!……また、尾獣を」
「そんな!タダで自由の身にしろと言いたいわけではありません。私たちが所有する、八尾と九尾以外の尾獣チャクラを、五大国へ受け渡します。そして、新生“暁”を……火影直属の傭兵集団として、再編成します。」
綱手は思い悩む様子で手を組む。
この案は小南が考えたもの。全員一致で合意した。元々尾獣集めはノルマでしかなかったため、さほど執着はないし、クセ者揃いの暁として戦いに身を投じれることは嬉しいことなのだ。
「ただ、これだけは約束して欲しい。人柱力を生むことは許さない。尾獣チャクラはいわば俺たちから五大国に対する貸しだ。尾獣達を戦力として使用しない、俺達暁を不当な理由で拘束しない。この二つの約束が破られた時、どうなるかは分かっているでしょう。」
「………そうだな。私達のメリットは、尾獣チャクラの管理によって新たな争いの火種を産まずに済むことと、里の防衛の為の戦力の確保。そしてお前達のメリットは、全員の身柄の解放および、生業の継続……」
綱手は手を解く。
「わかった。今度の五影会談で必ずや議題にあげよう。どちらもメリットのあるとても良い案だ。大方可決されるだろうな。」
「!!……ありがとうございます!」
二人は執務室を後にして木の葉の監獄へと向かった。
「良かったですね、いい返事が聞けて」
「ああ。断られていた場合の事の運び方を考えていたのは杞憂に終わったようだな。」
「……えっ」
「冗談だ」
イタチは驚き足を止めた鎖羅を振り返り、瞳を黒に変化させた。到底冗談には思えなかったが、鎖羅は笑みを引き攣らせながらまた歩き出す。