第2章 二夜
デイダラは口に粘土を食わせ、チャクラを練り込む。
二回手を握り込めば、手のひらには小さい鳥型の作品が生み出されていた。
空中に放り投げられ、印を結ぶとたちまち大型サイズに変化した。
「そんなに時間はかからねぇよ、うん」
空へ羽ばたき、なるべく普通の鳥のサイズに見える高度まで上昇した。
左目のスコープに手をかけ、倍率をあげる。
(いち、に、さん……空中の監視は3人か)
再度手を握り込むと、C1の蜘蛛型粘土が完成する。同じように空中に放り投げれば、監視所目掛けて落ちていった。
「……?!なんだこの変なのは」
砂隠れの忍の腕には顔の大きさほどの白い蜘蛛が這っている。
「これだからバカは、芸術ってもんを理解しねぇ……変なのじゃねえってことを体で教えてやるよ。
────芸術は、爆発だ!」
顔へ飛び乗った蜘蛛はたちまち小規模の爆発をする。監視所の周りに肉片と血が飛び散った。
「上出来だな、うん」
鷹のような風切り音を上げながらデイダラは里上を旋回する。風影住居のテラスに飛び降りると、紅色の装束と大きなひょうたんが視界に入った。
「お前は……風影か」
デイダラに向かって砂のムチが伸びる。
高く飛び上がり、旋回していた鳥に乗った。
「よく分かったな」
「砂の里にそんな鳥はいない」
(そんな鳥……ねェ)
砂の雲の上に乗った我愛羅はデイダラと対峙する。
「隠密行動は失敗だな、うん。
でもそのお陰で………」
デイダラのスコープは我愛羅の顔を捉えた。
「一尾を探す手間が省けたぞ、うん」
「ハァ……ッ」
我愛羅が手をかざすと、里の地面から砂が一斉にデイダラ目掛けて舞い上がる。