第2章 二夜
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砂が吹きすさぶ砂漠の中、可憐な鈴の音が風に乗って響く。
足跡と引きずる跡は砂隠れの里方面に続いていた。
「粘土……採る場所はないぞ」
ヒルコに入ったサソリが呟く。
「問題ねぇ……、オイラの十八番も持ってきてるからな」
グパッと手のひらの口は、ポーチの中の粘土を舐める。味を確かめたあと、ガツガツと食らいついた。
「由良……思い出してくれた?」
「……もちろんです、サソリ様」
監視所の入口となる細い通路にはいくつもの死体が倒れていた。由良の手は血にまみれ、赤い砂がサラサラと地面を移動する。
「思い出してくれなきゃあ、術にならねぇっつの」
「フン……案内しろ」
二人は由良に着いていく。
里内は風影住居を中心に八つの区画に分かれていた。
デイダラは一望すると、空中の監視所に目星をつける。
「オイラが行く、旦那はここで見てろ、うん」
「待たせるんじゃねぇぞ……」