第9章 九夜
「……!」
「火影、様」
治療所へ向かった暁は、火影率いる里の警備隊に囲まれる。この騒ぎを感じ取ったのか、テントの奥から角都を支えた飛段が出てきた。
「先程、里の外でうちはイタチと鬼鮫、ゼツを確保した。木の葉の里へ降伏するようだ。」
「そうか……それで?俺達は首とられるってェわけか?」
サソリが腕を振ると、三代目の傀儡が立ちはだかった。囲んでいる警備隊が武器を引き抜くと綱手はそれを制する。
「いいや。お前たちも里を救った英雄だ。……だが!お尋ね者なのは変わらん!木の葉で拘束させてもらう。いいか、あくまでも拘束だ。」
サソリ達は後ろ手に縛られる。火影の言葉からして殺されることは無さそうだが、これからの処遇に不安を抱えるほど心の弱い連中ではない。
「五代目様、地下牢ですか?」
「病院も崩れてしまったし、簡易医療所も満員だからな……仕方あるまい」
ぞろぞろと牢屋へ連れられ、一人一人小さな柵が取り付けられた独房に入れられる。地下にあったお陰で、ここは無事なようだ。
「ハァ〜、こんな牢屋すぐ爆発されちまうぜ」
デイダラはゴンゴンと壁を叩く。パラパラと破片が落ちたことから、確かに老朽化はしているようだ。
「そこのアナタ……私の鮫肌の扱いには十分注意した方がいいですよ……ちゃんとベルトは締めてあるのでしょうねェ……?」
「ヒ、ヒィッ!かか、確認してきます!!」
看守の忍はニヤリと不気味な笑みを浮かべた鬼鮫に怖気づき、上ずった声で走っていった。その様子に暁のメンバーは笑い声をあげる。
「鬼鮫、あまり脅してやるな」
「イタチさんも意外に素直なんですねェ……こんな所、アナタ程の忍なら直ぐ抜け出せるのに」
「…………」
「つーかよ角都、リーダーが死んじまって、俺らどーなるんだ?」
「後任としては小南がたてられるだろう。最も、俺達がまだ暁としていれるのかが一番の問題だろうがな。」
「急に裏切られて全員殺されちゃったりして!アハハ……ハハ……………ジョーダン」
「……トビィ、別にオイラ達死ぬのは怖くねぇけど、お前のその高笑いは嫌に耳に響くから黙ってろ!」
「デイダラセンパイも声うるさいなぁ!壁厚いはずなのに、鼓膜破れちゃいますよー!」
その瞬間、何かが崩れる音がする。デイダラは眉間に青筋を浮かべながら、壁にめり込んでいる拳を下ろした。