第9章 九夜
「………え、壁が……嘘でしょ?」
「………トビ、テメェエェ…!!」
「ギャーーッッ!看守さーーん!ぅわはぁあぁ!!!」
「す、すごい笑い声聞こえるな……」
「ああ…あの人殺し集団とは思えん……」
いつか太陽に照らされるはずと願いを込め────赤雲を身に纏いし“暁”。
血を流し、全てを失い、長い長い夜に閉じ込められ続け、希望さえ失いそうになりながらも、それでも夜明けを待っていた彼らは、ついに光を浴びた。
雨は上がる。新緑にその粒を残しながら。
夜は明ける。光を待つ者の願いを乗せて。
こうして、世界は新たな道へと歩み始めた。
“暁”を、空に抱いて。
──────────第一部 完