第9章 九夜
──────────
「………お、お前は!」
ナルトの金髪から水が滴る。
蝦蟇の暮らす里────妙木山で、ナルトはフカサクと共に仙人モードの習得に励んでいた頃、突如カラスが里の一角に集まりだし、それは人の形を成した。
「うちはイタチ…!」
「こやつは誰じゃ?」
ナルトはバッと手を出し、フカサクの前に立つ。伏せられていた漆黒の目はナルトの後ろにぎっしりと鎮座するカエルの像を見た。
「じっちゃん仙人は下がっててくれってばよ……イタチはシャレになんねぇくらい強い…!」
「待て」
影分身の印を結んだナルトをイタチは諌める。
ゆっくりと歩みを進めると、ナルトはさらに体の強ばりを強めた。
「自来也さんはどこにいる?」
「………は?」
「自来也ちゃんなら今家の中で休養しとるがのォ」
「じっちゃん仙人!!」
ナルトはフカサクの口を慌てて塞いだ。イタチは静かに目を伏せる。
「何が、狙いなんだってばよ」
「……ナルト、今すぐ里に帰るべきだ」
ゆっくりと手を離してフカサクを降ろす。飛んでくる怒号にも耳を貸さず、ナルトはただ不思議そうな顔でイタチを見つめていた。