第9章 九夜
「フン、都合の良い奴らだ」
「角都さん…この戦いが終わったら、私たちってどうなるんでしょうか?」
「どうだかな。だが、俺たちは命を賭けて今ここに来ている。」
「…!」
ペインはゆっくりと起き上がった。皮膚は所々めくれ上がり、焼けた外套から真皮が覗いている。
「この里の者全員を皆殺しにしたっていい。お前が……まだ迷いを見せるならな。」
「…ッありがとうございます、角都さん!」
鎖羅は口角を上げる。
決意に満ちた表情に、角都は満足そうに口布を戻した。
「気を抜くなよ、死ぬぞ」
「角都さんこそ!」
鎖羅は角都が投げたクナイを受け取って構えると、足の裏にチャクラを溜めた。しかし、まともに練れないコントロールのせいで足は地面から跳ね返される。だがその反発を利用し、鎖羅の足は次々と地面から跳ね返って目にも留まらぬ速さでペインに突っ込んでいった。
「グッ!」
クナイはペインの横腹を切り抜ける。
鎖羅はそのまま地面へ倒れ込み、受身をとった。
(チャクラの量を調節することが出来ない…止まる度に怪我してちゃ元も子もないな……)
「雷遁・偽暗!」
「!」
新しく背中から這い出た仮面が放った雷遁の槍は、バチバチと弾けながらペインへ一直線に伸びる。ペインは血が流れる横腹を抑えながら空中へ浮かび上がった。
「来るぞ鎖羅!」
ペインの手のひらから黒い棒が伸びる。
「万象天引…!」
「あッ…ぐぅ…!」
鎖羅の身体はぐぐぐと引き寄せられた。瓦礫にしがみついて耐えるが、その瓦礫さえも引き剥がされ、まるで天に落ちるかのようにペインへ引き寄せられていった。