第9章 九夜
「大丈夫か鎖羅!」
「す、すみませんッ!見苦しい所を!」
サソリさんとデイダラさんは、多少なりとも傷は負っているものの、平然とした様子でこちらへ向かってくる。それに比べ、私は敵一人倒すことも出来ずに既にボロボロだ。
「直ぐに終わらせます、直ぐに……!」
印を結ぼうと途中まで手を動かすが、作り出した水の球体はいくつか宙に浮かんだだけで瞬く間に弾けてしまった。
「っ…!」
「いつも以上にまともにコントロール出来てねェじゃねえかよ」
サソリは呆れたように指を動かす。
チャクラ糸は鎖羅の身体のあらゆる所に繋がれた。
「!」
「何の為のスリーマンセルだ?俺達はもう、互いを監視する為に組んでいる訳じゃねえ。」
「鎖羅、センパイの事は頼るもんだぜ?うん?」
デイダラは先程預かった鎖羅の武器を取り出し、掌から吐き出した粘土をみるみるうちに形作って武器へ取り付ける。
「これは…!」
「アタッチメントだ、オイラの起爆粘土が発射されたチャクラ弾の威力をなんとも芸術的かつ爆発的に上昇させてやるぜ!うん!」
銃口にはスーパーフラットに造形された大きく口を開けた虎の顔が取り付けられている。
デイダラの鳥が空へ舞い上がった。
「上から援護する!旦那、鎖羅、任せたぞ!」
「デイダラさん、サソリさん……!ありがとうございます!!」
「フン、礼は後だ。」
サソリは腕を振りかざした。ギッ、と見開かれた薄茶の瞳が鈍く光る。
天才傀儡師と歌われた彼の糸使いはそれこそ至高のものであり、誰に真似できるものではない。
チャクラ糸で繋がれた鎖羅の足は走り出すと次第に回転数を上げていく。