第9章 九夜
「ニナさん!無事だったのね!」
「サクラさん!」
サクラは戦場を駆けていた鎖羅の元へ着地すると、医療忍術で鎖羅を治療する。
「ありがとうございます!」
「……?ニナさん、なんか雰囲気変わった?」
「!えっ……と、その、記憶、戻って…」
突如二人の元へ火を吹いた腕が飛んでくる。
サクラは鎖羅を守るように覆い被さるが、その腕は砂鉄の雨で撃ち落とされた。
「なにやってんだお前ら」
「赤砂のサソリ?!な、なんで生きてるのよ!!」
サクラはチャクラ糸を引いて傀儡を体に寄せたサソリを睨みつける。
「…ッ、ペインに重ねて暁まで来られちゃ、私たちじゃ…!」
「サクラさん!今はみんな味方です!その証拠に、外套着てないでしょ?」
「そんなの信じれるわけないわ!犯罪者集団よ、いつ手のひら返すか……」
「サクラさんッ!」
戦闘体制に入っているサクラの手を鎖羅はとる。
「信じてもらえなくても良い…ッ!でも、私たちはこの里のために戦います!」
「!!」
鎖羅は手を離し、サソリの元へ歩く。
「旦那ァ!もう一人がこっち来てるぜ!」
「ノルマは一人一体だ。このままいくぞ」
三人の六道が、サソリ、デイダラ、鎖羅の前に立ちはだかった。
「久方ぶりのスリーマンセルだ。忘れたなんざァ言わせねぇぞ」
「忘れるわけ……ないじゃないですか!」
デイダラの起爆粘土が厳つい顔の男目掛けて羽ばたいていく。爆発の煙の中から、ロボットのような風貌をした男が体のカラクリを変化させながら走ってくるのを、サソリは傀儡を動かして砂鉄の雨を浴びせた。鎖羅は向かってきた長髪の男の手を避け、体に手を回して地面へ飛び込んだ。