第9章 九夜
「──────嘘……」
新たな惑星が出来たのか。
冗談であって冗談でない。
里は大きくクレーターを作り、宙には巨大な土の塊が正円を為して浮いている。
ニナは慌てて落ちたリュックを背負い、二人は門近くへと走る。変わり果てた里の姿に、サクラは動揺を隠せない。
「!」
ニナの足元に亀裂が入る。グラグラと割れた地面は揺れ、足を掬って土の塊へと飛んで行った。
サクラは思考を走らせる。
───ナルトはいない。カカシ先生も早朝から任務に行ってしまった。今、自分がこの状況で一番に冷静であるべきだ。
まずは師匠の安否、そして指示を仰がなければ。
「ニナさん!森へ走って!ここから逃げて!!」
「で、でも!里が!!」
「貴女は今ここにいるべきじゃない!!帰るのよ、自分の居場所へ!!」
「……サクラさんッ!私にもこの里を守らせてください!あなたが見せてくれた里の光景を……私は易々と捨てることなんて出来ない!!」
ニナはリュックの中を探り、二つの白い陶器を取り出した。持ち手の様に太く作られた箇所を握れば、手のひらが熱く感じる。
「ニナさん……」
「大丈夫です…ッ!私一人でやってみせます!」
決意に溢れたニナを、サクラはどこか嬉しそうに見つめる。腰のポーチから手袋を取り出し、両手にはめて拳を打つ。
「しゃーんなろー!やってやるわよニナさん!」
「はい!」