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邯鄲の夢【NARUTO】

第9章 九夜




異様な寒さと手首の痛みで目を覚ました。朦朧としていた意識が次第に鮮明さを増していく。支離滅裂な思考がまとまった頃、ニナは拘束され、牢に入れられていることに気づく。

「………いッ」

ガシャンと鎖が揺れる。無機質で若干錆び付いた金属が手首にくい込んでいる。

さて、なぜ自分はここに拘束されているのか?

一番新しい記憶は眠りについた午前二時。消灯された病室の天井だ。


「……あのー!誰かいませんかー!」

声を張り上げても、格子の外に広がる空間にこだまするだけで反応はない。
あらゆるものから伝わる冷気に身を震わせる。
いま時刻はどのくらいだろうか。当然音も遮断されている地下なのでニナには到底分かるはずがない。

呆然と闇が落ちる部屋の奥を見つめていると、男の話し声と足音が響いてきた。重々しい扉は開けられ、広間に会話が響く。


「まだ16のガキだろ?こんな大層な部屋使いやがって、管理がめんどくせぇったらありゃしねぇ」

「まあまあ、特別拘束室担当は手当もつくだろ?」

「!あ、あのっ!助けてもらえませんか?!目が覚めたら拘束されてて…!」

濃い緑のベストを着ている男二人は格子の鍵を開けてニナを見下ろす。顔に落ちた影の中から目玉が床からの反射光を受けて鋭く光っている。

「犯罪者が何言ってんだか。今からお前は身体検査だ。」

「!!い、いやだ……ッ!」

着せられていた黒の七分袖の上着を首までたくし上げられる。

「暴れんなって。貰ってる手当以上楽しませて貰わないとなぁ?」

手首に拘束具がくい込むのを厭わずに必死に体を這う手から逃げる。だが膝立ちなのも相まってその範囲はたかが知れていた。


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