第8章 八夜
「よし赤丸!一発修行してから帰るぞ!」
「ゥワン!!」
店を出るや否や、キバは膨れたお腹すら気にせず赤丸と共に修練場へ走っていった。夕日に照らされるライダージャケットが見えなくなった頃、シノも虫達の世話があると言って帰って行った。
「どうする?私とニナさんは今から病院行くけど」
「あっ…じゃあ、私もついて行くね。今日はネジ兄さんも任務で出てるから」
今はまだ太陽が沈み始めた頃。市街地はのれんを出し始めた店や看板をしまう店など、次第に表情を変えていく。
「あの少し気になってたんですけど、ナルト……って?」
「ああ、今師匠と修行に出てるんだけどね。私と同じ班なの。どういう人かはヒナタに聞いた方がいいんじゃない〜?」
「あ、えっ!?う、う………」
話を振られたヒナタさんはみるみるうちに顔が赤くなっていく。
「ナ、ナルトくんは、とっても強くって、キラキラしてて、いつも元気で、そんなナルトくんを見てると私達まで元気を貰えるような……太陽みたいな人」
「そうなんですね…キバさんもなんだか影響されてるみたいだったし、皆に好かれてる人なんですね!」
そう言うと、ヒナタさんはどこか悲しそうな表情を見せ、サクラさんは口を結んだ。
「……どっちかと言うと、嫌われてたわ」
「えっ?」
「私達同期はそんなの全然気にしないんだけど、やっぱり里の大人達は忌み物扱いしてた。小さい頃からずっと一人で、ここに暮らしてる」
サクラさんが指を指した建物は酷く日当たりが悪そうで、陰ったドアがどこか物悲しい。
「本人は全然気にしてないんだろうけどね!イタズラっ子だったし、いっつも迷惑ばっかり!……でも、そうやって元気にやってても、どっかほっとけないのよね、アイツは!」
「うん…!自分の道があって、それを信じて進んでいくナルトくんの背中は皆に勇気を与えてくれるの…!」
「…………すごく、綺麗です」
「え?」
ニナは歩みを止める。胸の内に広がる、ワクワクしているような、楽しいような、そんな感情をニナは綺麗だと表した。