第8章 八夜
「どうだニナ、読めそうか?」
「…………」
ニナは手渡された書物を一枚一枚丁寧に目を通す。カカシとサクラはそれをじっと見守った。
「……ごめんなさい、なにが書いてあるか分からないです」
「そっ〜〜…………かあ」
(有り得ない、血筋の者でなければ読めないはず。嘘をついているか……)
カカシは書物を受け取って、同じように目を通す。やはりそこには不可解な記号が並んでいるようにしか見えない。チャクラの気も感じないし、封印である様子もない。
「先生、悩んでいても仕方ないですし、そろそろお昼休憩にしませんか?」
「そうだね、もう朝から手伝ってもらってるし」
サクラは繋がれている管を外し、外出許可を貰って三人で病院を出る。
「サクラ、ニナ、なにか食べたいものある?」
「えっ!奢ってくれるんですか?!じゃーあー………焼肉Q行きましょ!!」
サクラさんに手を引かれ、市街地を駆けていく。次第に香ばしく、食欲をそそる匂いが鼻をくすぐってきた。店内に入ると、その匂いは強さを増して喉を鳴らす。
「あら?ヒナター!任務の帰り?」
「う、うん…こんにちは、サクラさん」
「あ?誰だ?そいつ」
「里では見ない顔だ」
三白眼の男の子に、薄紫の瞳の女の子、フードを深く被っている男の子のサングラスにはコンロの炎が映し出されている。