第8章 八夜
「そうか、急に泣き出して急に倒れたと」
「はい……気分が悪そうでもなかったし、あんみつが原因とも思えなくて…」
「サクラ、お前はどう思う?」
サクラは目を赤く腫らして病室のベッドに横たわるニナを見た。
「…なんらかの出来事が感情を増幅させるきっかけとなり、眠るように倒れた。このことから情動脱力発作が考えられるかと思います。」
「その通りだ。保護した時に彼女の脳波を検査した。結果、食欲や睡眠を司る神経細胞が消滅していることがわかった。」
「治療……ですか?」
「いいや、この病こそがこやつら一族たらしめるものなのかもしれんからな。さて、もう遅い。今日はもう帰って、明日も頼んだぞサクラ。」
「はい、失礼します」
サクラが去った後、綱手は死んだように眠るニナの横に座る。
しばらく顔を見つめたあと、執務室へと帰って行った。