第8章 八夜
所変わり、火影の執務室。
あらゆる書類がデスクに積み上げられている中で、五代目に就任して間もない綱手はニナが持っていた禁術の調査を最優先にしていた。先程、暗号部から受け取ったカウンセリング結果と、横棒で埋め尽くされた書類を手に取る。
カウンセリングの結果は望ましくなかった。
なにも情報は得られず、本人は暁である事すらも忘れているようだ。
(あの大蛇丸が脱退した際には粛清の為に探し回った連中だ、恐らくあいつも……)
それより、問題はこの禁術だ。
もはや幻想と化していた夢見の里の禁術──これを求めて多くの命が奪われた。最終的には一族の次期当主が里を潰し、これを持って逃げたという結末だった。
暗号部の報告通り、この禁術の巻物に書かれている文字のようなものは読めなかった。だから鎖羅に自白させ、木の葉で厳重管理をしようと思ったのだが………
「ししょ……火影様、ただいま戻りました」
「ああサクラ、いい所に」
綱手は机上の書類を片付け、任務から帰還したサクラに向き直った。
「帰ってきて早々申し訳たのだが、ある事情でお前に世話を頼みたいやつがいる」
「世話……といいますと?」
「簡単に言えばお前がいのたちと接するように、親しくしてやってほしい。」
状況が飲み込めないサクラに、片付けた書類の中から一枚の紙を手渡す。そこには少女の写真と、見出しに手配書と記載されていた。