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邯鄲の夢【NARUTO】

第7章 七夜




「一週間後、木の葉の里襲撃作戦を実行する。」


その日の夜、リビングに集められたメンバー達はペインの告げた言葉を聞いて硬い表情を浮かべた。ただ一人を除いて。

里を襲撃──────その言葉だけで、鎖羅はあの日の夜の戦火が脳裏に浮かんでくる。湧き上がる恐怖とともに次いで口を開いた。

「そ、そんな、どうして!」

「九尾の捕獲のためだ。お前もよく分かっているはずだ、俺達の目的は平和だと」

「平和なんて……ッ!里を潰してまで手に入れる平和なんて、そんなの本当の平和じゃないッッ!」

部屋に鎖羅の喚声が響いた。高ぶる彼女を、他のメンバーは驚きもせずにただ様子を伺うようにじっと見ているだけだ。そう、見ているだけ。誰も反論はもちろん、同調すらもしない。

「鎖羅ちゃんよォ、平和なんてほざくやつほど薄っぺらいもんはねーんだぞ?第一オレらはそんなもん目指してここにいる訳じゃねーしよ」

「……どういうことですか」

少なくとも私が加入した時に聞いたのは、同じ志を持った者が集まったのが暁という集団ということだ。

「あぁ?それはぁー………まあ人によるけどな!」


角都さんは下品に笑う飛段さんを黙らせるように首根っこを引き寄せた。
鎖羅の表情に次第に絶望が曇る。ここにいる全ての人が悪魔……いや、人としての大切なものを失った化け物のように思えた。


「問おう、鎖羅。お前は暁に何を望む?」

「それは……、子供達が幼い頃から戦う事を夢見ずに、親の愛情を受けて育つことの出来る平和です…ッ!」

「……それは俺も同じだ。」

「じゃあどうして!!里を襲ったって苦しみしか生まない!!」

「今の世の忍達は痛みを知らない。だからこそまるでお前の里が潰されたように、力を求めた争いが続くんだ。
お前がいい例だよ、鎖羅。地の底まで叩きつけられるような痛みを、憎しみを知った者は、それを繰り返そうだなんて思わない。」

また脳裏に流れるのは、母が死に、ウズメが死に、あらゆるものは燃え尽きて、新芽さえも芽吹かない地獄に変わり果てた里の姿だった。
鎖羅は顔を歪める。そしてゆっくりと目を開き、外套に手をかけた。


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