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また、恋してくれますか。

第27章 〜番外編その4〜


『うん、もう大丈夫だよ。赤ちゃんも
元気だよ。俺もまだ抱っこしてない。
桜奈は、胎盤が出たあと
出血量が、通常より多くて
それでちょっとだけ、バタバタしたみたい。
でも先生も、もう大丈夫って言ってたから
安心して・・・』

家康の話で、赤ちゃんは大丈夫の言葉に
ホッと胸を撫で下ろす桜奈は、同時に
自分がそんなことになっていたのだと
理解し、薄ら記憶にある家康の不安な表情の
理由も分かった気がした。

『ああ、そうか。それで、心配して
家康さん、不安そうな顔してたんですね・・
ごめんなさい、心配かけて・・・』
申し訳なさそうな顔をして謝る桜奈に

『いいや、俺が不安で勝手にビビっただけ。
桜奈のせいじゃないよ。
先輩にも取り乱し過ぎだって
怒られちゃったしね。
ハハ、情けないね。
ダメだなぁ、俺。医者のくせに・・・』

不甲斐ないと自分を責める家康に

『そんなことないですよ。私を想って
心配してくれたんでしょう?
凄く嬉しいです。』そう言って微笑んだ。
それから、徐々に家康とした約束を
思い出した桜奈は

『約束しましたしね。何があっても
家康さんより絶対に長生きしてみせますから
心配しないで』と家康の手を強く握り返し
クスッと笑う桜奈。

握った手に口づけしながら
『うん、絶対だよ。約束ね』と
言うと、寝ている桜奈に
覆い被さるようにしながら
桜奈をぎゅっ〜と
抱きしめ、存在を確かめた。
(はっー良かった、無事で本当に良かった・・)
それ以外に思うことなど、何もなかった。

少しして、病室のドアがノックされ
ナースが検温と点滴交換にやってきた。

処置の間、病室の外で待つ家康に
先輩女医も様子を見にやってきて
声をかけた。

『お疲れ様、少しは休んだ?』

『はい、1時間くらい寝てたみたいです』

『そう、明日、仕事でしょ?
心配だろうけどちゃんと、身体は休めなさいよ。
でないと、あんたに診られる患者が
気の毒だからね!』

厳しい言葉ではあるが、医師としては
当然のことでもある。
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