第27章 〜番外編その4〜
並んで歩く三人に、木枯らしが吹きつける。
『桜奈、寒くない?』
身重の妻を心配する家康に
繋いだ手をほどき、腕を組み直すと
ピタッと寄り添い
『平気。こうすれば、暖かいもん』と
幸せそうに微笑み
『ママー!見てー、お日様、みかん色ー』と
夕日を指差し、叫ぶ信康に
『ほんとだねー!綺麗だねー』と
信康にも優しく微笑む桜奈。
幸せは、そんな些細な瞬間にさえ
溢れている。
過去に囚われ、過去に縛られたままでは
きっと手にはできなかった幸せの道を
今、二人は歩いている。
この先には、様々な苦しみも悲しみも
困難も待ち構えていることだろう。
しかし、まだ起こってもいない未来を
思い患えば途端に『今の幸せ』は
見えなくなってしまう。
だが、家康も桜奈もきっと
今の幸せを、見失うことはないだろう。
自分達にとって、何が1番大切で
何を求めていたのかは
もう十分にわかっている。
君さえいれば・・・
貴方さえいれば・・・
それだけで、こんなにも幸せに
なれる想いを、もう忘れることはない。
例え、いつか死が二人を別つ時が来ても
また生まれ変わったとしても
きっと、その想いは縁を呼び
再び、運命の赤い糸に姿を変える。
何度でも何度でも、出会った瞬間に
恋に落ち、やがて、唯一人の人だと
気づくことになる。
魂の片割れを求める『輪廻』は
そうして、くり返される。
更なる『愛』を学び
更なる『愛』を与え合う為に
やがて、一つの魂となるその日まで・・・
純粋な愛へと還る旅は続くのである。
『家康さん、生まれ変わっても
また、恋してくれますか?』
『もちろん・・・きっとまた俺が
一目惚れするね。自信あるよ。』
『ふふっ、私もです』と
ふわりと花のように笑う桜奈。
顔を見合わせ、微笑み合う家康と桜奈には
お互いの心の声が聞こえてくる。
『永遠に愛してる』と・・・。
ーーーー終ーーーー
以上をもちまして
『また、恋してくれますか。』は
完結となります。
気づけば、1000ページ近くに
なっていて、筆者がびっくりですΣ(ŎдŎ;)!!
長らくお付き合い下さり
誤字脱字にめげずにお読み頂き
応援までして下さいました
全ての皆様に、感謝申し上げます。
本当に、ありがとうございましたm(_ _)m