• テキストサイズ

また、恋してくれますか。

第27章 〜番外編その4〜


家康を見つめる桜奈。
相変わらずの、ふわふわの猫っ毛と
自分より長そうな、まつ毛。
だが、目の下には、薄らとクマができている。
(相変わらず、寝顔もカッコいいな・・ん?
クマができてる?そっかぁ、ずっと
ついててくれて、寝てなかったよね・・・)
労りの気持ちになりなが
もっと、よく顔を見ようと
身体の向きを変えようとした。

だが(いたっ!!)と傷の痛みだけでなく
筋肉痛で全身がガチガチの石のように
なっている。そのせいで思うように動けず
もぞもぞしていると、ふっと目を覚ました
家康と目が合った。

思うようにならない自分の身体と
起こしてしまった申し訳なさで
苦笑いしながら『おはよう・・・』と
声をかける桜奈。

家康もぼんやりと、目を覚ました感じだったが
声をかけられ、目を覚ましている桜奈に
気づくと目を大きく見開き
一瞬、驚いた表情になった。

それから、泣きそうな自分に
耐えるように、眉をひそめると
みるみる切ない表情に変わっていった。

突然、布団に顔を突っ伏して
『良かった・・良かっ・・』と
桜奈の手を両手でぎゅーっと
握りしめ、身体を小刻みに振るわす家康。

桜奈が目を覚ますまで
大丈夫だと思いながらも
どこか不安で、怖くて堪らなかった。
そんな気持ちのまま眠ってしまった家康。

だが、いつもと変わらない
桜奈を目の前にして
やっと、悪夢から覚めた気分になった。

『い、家康さん?なんかあったの?
ごめんなさい、私、疲れちゃって
眠くて眠くて・・ずっと寝てしまってたんだね。
途中、先生に声かけられた気はするけど
あんまり、覚えて無くて・・・

赤ちゃんは?元気にしてるかな?
家康さんはもう抱っこしたの?』

自分が命の危機に陥りそうに
なっていた事を、よく覚えていない
桜奈は、自分より我が子の方が
気がかりだった。

それから、処置の最中に家康が泣きそうな
顔をしていたことと、何かを約束した
ような事だけは、薄らと覚えていた。
/ 978ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp