第27章 〜番外編その4〜
その後、状態が落ち着いた桜奈は
病室に戻った。
鷹介も千里も先生からの説明を受け
ホッと胸を撫で下ろす。
桜奈の眠る顔を見て
大事に至らなかったことを安堵し
家康も、昨日の夜から一睡もしておらず
ろくに食事をとっていない状態を心配し
一旦、うちに返って休ませたいと
思っていた。
だが、桜奈の側から
片時も離れようとしない家康に
無理強いすることは、躊躇われた。
売店で、飲み物や食べ物を買って
家康に渡す千里と
何時でも迎えにくるから、無理は
しないようにと気遣う鷹介。
二人を見送ると、また眠る桜奈の
側に座り桜奈の手を握りしめた。
緊張と不安から解放され
桜奈同様、とっくに体力が限界に
達していた家康は、桜奈の傍らで
いつの間にか眠ってしまっていた。
どれくらい、眠っていたのだろう。
先に桜奈が、ふっと目を覚ました。
窓の外は、すっかり日が落ちて
真っ暗になっている。
(すっかり、暗くなってる。
どれくらい寝てだんだろ・・・
赤ちゃん、大丈夫かな・・早く
顔みたい、抱っこしたいな・・)
気がかりは、我が子のこと。
時間を知りたくて、携帯を取ろうと
手を動かした。そうなって初めて
家康ががっちりと手を握ったまま
眠っていることに気づいた。