第27章 〜番外編その4〜
桜奈の意識がなくなった事に
家康は焦った。
『桜奈!桜奈!』と
呼びかけ、揺り起こそうとしたが
『こら!徳永!ストップ!ストップ!
奥さん疲労困憊中よ!今はそっとして
寝かせてあげて』
と、肩を掴まれてハッと振り返る家康は
泣いていた。
『大丈夫!出血は治ってきてるし
収縮も始まってるから、もう心配ない
ってか、取り乱し過ぎだよ、あんた・・・
奥さんの顔、ちゃんとみなよ』
と言われ、桜奈を見ると
青白い顔はしているが、スッースッーと
寝息を立てながら、眠っているのだと
分かった。
一気に、脱力する家康は
その場にヘナヘナとしゃがみ込み
『良かった・・・、ほんとに良かっ・・』
と、手で目を覆いながら
ポロポロと涙を流した。
『ちょっと、出血の量が多くて
どうなるかと思って、呼びに行かせたけど。
ごめんね、返って不安にさせちゃったね。
でもこの分なら、輸血もしないで大丈夫だよ。』
と、先輩女医はそう説明しながら
しゃがみ込み、顔を伏せたままの
家康の肩をポンポンと叩き、労った。
涙をさっと拭いながら、立ち上がり
『先輩、本当にありがとうございました』と
深々と頭を下げる家康。
『皆さんも、ありがとうございました』と
スタッフにも深々と頭を下げ
お礼を言った。
後に、この日の出来事は
家康の愛妻家伝説として
病院スタッフ中に知れ渡ることになる。