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また、恋してくれますか。

第27章 〜番外編その4〜


そんな状態でも、家康の思いつめた表情に
胸が痛み、心配になる桜奈は
『また?置いてく?どうして?・・・』

単語だけを、ポツリポツリと並べて
家康に尋ねる。
家康は、桜奈に問われて
初めて、自分が『また』と言った
不自然さにやっと気づいた。

(またって。なんで、そんなそんな事・・)
よくわからないが、知らぬ間に自分の
奥底に横たわる、桜奈をまた失うのは
絶対嫌だと言う、恐怖にも等しい拭えぬ不安。

まるで、以前に桜奈を失った
経験でもあるかのように
その不安は、気づかなかっただけで
痼りのように自分の中に
ずっとあったような気がした。

だが、心配をかけまいと
『なんでもない。大丈夫だから』
と語りかけるが、握った手は小刻みに
震えてしまう。

怯えているようにさえ感じる
家康の不安に揺れる瞳。

力ない表情でふっと笑い、家康を励まそうと
力の入らない手で精一杯握り返すと

『どうしたんですか・・?なんか変ですよ?
私は、どこにも行かないし
置いて行かない、行けるわけない・・
またって、言うなら、今度こそは絶対
ずっーと側に・・います・・・よ・・
約・・束・・し・・ます・・』と
桜奈自身もまた、朧げな
意識状態の中で、家康を安心させたくて
そう約束したが

睡魔に邪魔され途切れ途切れに
会話するのがやっとだった。
そのうちに、すっーと
目を閉じる桜奈。

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