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また、恋してくれますか。

第27章 〜番外編その4〜


分娩室に入る前に
鷹介と千里も桜奈に声をかけた

『桜奈、頑張ってね!
赤ちゃんも頑張ってるよ。
もうすぐ会えるよ』

娘を案じ、心配そうな表情をしながら
そう励ました。

やつれた顔で、微かに微笑み
コクッと頷く桜奈。

家康も鷹介と千里にお辞儀すると
『僕も行ってきますね』と声をかけて
桜奈と共に分娩室へと
入って行った。

落ち着かない様子で
分娩室の外で待つ鷹介と千里だったが
少しすると

時折、助産師の指示の声と
それに続くように、桜奈の悲鳴とも
泣き声ともつかない、いきんでいる呻き声と
桜奈を励ます家康の声。

ハラハラしながら祈るような
気持ちで、娘の苦しそうな声を
聞いていた。

分娩室の中では

『頭が出たからね
じゃ、次に痛みがきたら
タイミング合わせていきみますよー』

『ハッー、ハッー、痛み・・きましたー』
と、表情が、歪む桜奈。

『はい、じゃ大きく吸って吐いて
吸ってー、はい、いきんで!もっともっと
おへそ見るようにしてー、そう、頑張ってー』

助産師の支持に従い
顔を真っ赤にしながら、力を入れる桜奈。

『んーーーン、んーーン』

『オギャー!オギャー!』

『おめでとうございます!可愛い男の子ですよ』
と、抱きあげて見せてくれた赤ちゃん。

家康も桜奈も一生忘れられない
光景となった。

『桜奈!ありがとう!
頑張ってくれて、ありがとう!』と
薄ら涙を浮かべながら、桜奈の
頭にキスする家康に

『はい。家康さんもずっと
側にいてくれて、ありがとう!
お疲れ様でした』と、安堵したように
桜奈も涙を流し、家康の頬に手を
当てた。

処置をして、身体を、きれいに拭いて
もらい、桜奈と肌を触れ合うように
胸の上に乗せて貰った赤ちゃん。

桜奈と肌を合わせると
泣きやみ、安心した様に
静かになった。

『初めまして、パパとママだよ!
これから宜しくね!』と言う桜奈に
続くように、指で小さな手に
ホッと触れると、『宜しくな』と
家康も声をかけ、桜奈と微笑み合った。

1月1日 午前11時11分
3000gにて、男子出産。
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