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また、恋してくれますか。

第27章 〜番外編その4〜


家康は、陣痛が来ると腰をさすりながら
『桜奈、頑張れ!』と声をかける。

そんな状態が、また数時間続く。

だんだん、体力が奪われ、ウトウトとするが
痛みで、満足に眠れない。
気がつけば、年も明け、夜も明けようと
していた。

鷹介と千里には、まだ時間がかかるだろうからと
しっかり休んでもらう為に一旦帰ってもらった。

一晩中、桜奈に付き添う家康。

手を握ったまま、疲れきった表情で
ウトウトする桜奈。
汗で、頬張り付いた髪の毛かきあげながら
頬を撫でる家康。

(頑張れ、桜奈・・・)
と、心で呟き、握った手に口付けしたまま
祈るような表情で、桜奈を見つめる家康。

すると、また桜奈が眉をひそめ
苦痛の表情に変わって行く。
半分眠っているのか、目を開けずに
痛みに耐えている。

陣痛が始まって、12時間が経過していた。

やがて、スタッフの交代時間となり
担当医の先輩女医が診察に来た。

『徳永さん、おはようございます。
おっ、徳永もお疲れ様。
ってか、一睡もしてない顔だねー』

『ええ、まぁ』と家康も、目の下にクマを作り
疲れた表情をしながら、苦笑いした。

『もう、そろそろだと思うよ。
徳永さん、ちょっと内診させて下さいね。』
と、手袋をはめながら桜奈に声を
かけるとナースが、サッとカーテンを閉めた。

『楽にして下さいねー』と陣痛の合間に
診察し、終わると直ぐにカーテンが開き

『やっと、全部開いたから
分娩台に移動しましょう。
あと少しで、赤ちゃんに会えますからね!
もう、ひと踏ん張り頑張りましょう』
と、励ます先生に、コクッコクッと
頷くのが精一杯の桜奈。

家康の方にくると
『全開になったし、いよいよだね。
立ち合いだったよね?』

『はい。どうぞ宜しくお願いします』
と、頭を下げる家康。

家康の肩をポンポンと叩くと
『うん、あんたももうひと頑張り!
奥さん支えてあげて』と
病室を後にした。
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