第27章 〜番外編その4〜
自宅に戻った家康と桜奈は
ソファーで寛ぎながら
双子ちゃんの可愛さを思い返して
お腹の子が生まれたらの、あれやこれを
楽しそうに想像し語りあった。
いつの間にか、家康の肩にもたれかかりながら
ウトウトと眠ってしまった桜奈。
眠ってしまった桜奈を起こさぬよう
そっと抱きかかえて、ベッドに運ぶと
桜奈の寝顔に癒されながら
自分も隣で眠りの中に落ちていく。
寝室の窓からは、西日が差し込み
足元に光が当たる。
レースのカーテンがふわりと
風に煽られ、たなびくと柔らか風が
家康と桜奈の頬を撫でていく。
春から夏へと空気が変わり始めていた。
季節の巡りを肌で、感じ取る家康は
(この幸せのまま、永遠に時が
止まってくれないかな・・・)
桜奈を抱きしめながら
薄れゆく意識の中で、そう思い
そう願ったのだった。
幸せで、楽しみで、でも穏やかで
このまま、この時間が止まってくれたら
愛しい人を永遠に自分の腕の中に
包み込んでいられる。
命と向き合わねば
ならない仕事に就いた故
永遠などないことをイヤと言うほど
思い知らされる日々。
どんなに愛おしく、愛して止まない
相手でも、いずれ別れの時がやってくる。
だからこそ、永遠が欲しくなる。
幸せで、満たされている
この『今の幸せ』の瞬間の中に
閉じこもってしまいたくなる。
微睡の中で、そんな事を夢の様に
思う家康に
『約・・束・・だよ・・』
小さな男の子の声に聞こえたが
気がした。
目を閉じたまま家康は
ああ、そうだったと納得した気分になり
この先に、今以上の幸せが待っていることを
思い出した。
『うん、約束したね・・・』と
呟くと、幸せそうに微笑み
深い眠りにの中へ落ちて行った。