第27章 〜番外編その4〜
交互にお茶を飲ませ
口元を拭き
こぼれた、食べかすを拾い
桜奈達と会話しながら
せっせと世話をする詩織。
詩織と双子達を見つめながら
十数ヶ月先の自分の姿を重ねて
想像する桜奈。
顔は思い出せないが、夢に出てきた
家康と同じふわふわの猫っ毛と
同じ瞳色のあの男の子の
世話をしている自分を思い描く。
(私も、こんな感じになるのかなー
大変そうだけど、楽しみ・・・)
ティーカップを口元に運びながら
微笑む桜奈の表情も
既に、母の顔になりつつあった。
横目で、桜奈のその表情を
捉えた家康には、いつも以上に
美しく、何処か尊くさえ映る。
そんな家康を見逃さない詩織は
『やーねー、自分の奥さんをガン見し過ぎ
だってば!』と指摘され
飲みかけのお茶をブッと吹き出し
ゴホゴホとむせた。
隣で、急にむせる家康に、びっくりした桜奈。
『きゃっ!どうしたの?家康さん?』
慌てて、ティッシュで垂れたお茶を
拭きながら、そう尋ねる。
『あはは、こっちにも手がかかる子がいたー』
と、家康の動揺をクスクス笑う詩織に
『///ったく、あんたが、余計なこと言うから』
と詩織に抗議しながら手の甲で口元を
拭って言ったが
だが、その後が大変だった。
面白いものを見たとばかりに
双子達が、自分達もと
ブッー、ブッーと家康の真似をし
キャッキャし始めた。
お腹もいっぱいになり、丁度
遊びたくなったところだったのだろう。
そんな双子達の意を汲む詩織は
『はいはい、おじちゃん面白かったねー
お腹いっぱいになったね。美味しかったねぇ。
ご馳走様しようか』と
手や口元を綺麗に拭き
双子達を椅子から下ろすと
タッタッタと家康の元に駆け寄り
家康を見上げて
ブッー、ブッーとさっきの真似をした。
『ハハ、さっきのが面白いから
もっかいやってー、だってよ』
と通訳する詩織。
『え〜〜』と、困る家康を
今度は、桜奈が微笑ましく眺める
番だった。