第27章 〜番外編その4〜
夕食を食べ終え、後片付けをすませた
桜奈はソファーで寛ぎながら
時代劇映画を観ていた。
一方、家康は自室で勉強中。
研修医期間が終わったとは言え
まだ、新米の医者には変わりない。
だが、患者にしてみれば自分の身体を
時には命を託す相手。
その責任の重さは、新米だろうと
ベテランだろうと、関係ない。
患者により良い適切な医療を提供する為
家康は、医師と言う職業に
真摯に向き合い、勉強を怠ることはなかった。
一通りの勉強を終え、リビングに戻ると
いつもながら、徳川家康好きな桜奈は
自分の好みの俳優が演じる、徳川家康に
うっとりし
『はっー、やっぱり、かっこいいな!』と
ご満悦。
自分以外の男に、魅了されたような
ため息をつくことが、何故か癪に触る家康は
隣に座ると、そのままゴロンと桜奈の
膝の上に頭を乗せた。
急に枕にされて、家康の方をみた桜奈は
(勉強終わったんだ・・お疲れ様です・・)と
労うように、にっこりと微笑んだが
また、すぐに桜奈の意識は
映画へと移って行った。
百面相をしながら、映画に見入る桜奈。
何が面白いのかと、映画をチラ見するが
自分とは、似つかぬイケメン俳優が
苦渋の決断を迫られ苦悩するシーン。
ハラハラとしながら、我がことのように
切ない顔をする桜奈を
じーっと見上げて、さらに不機嫌さが増す。
邪魔はしないが、痛いほどの視線を送られ
桜奈の集中は、ついに途切れた。
耐え兼ねた桜奈は、家康を見つめ
『何か、ご不満でも?』と尋ねた。
『やっと、こっちみた』とニヤリとする家康。