第27章 〜番外編その4〜
『そうなの?あんまり無理しないでね!
お腹すいたでしょ?
今日は、嬉しい日だからお赤飯に
してみました!
はい、手を洗って、着替えてきてくださーい』
とニコニコしながら、家康の背中を押す桜奈。
昼間の電話で聞いた沈んだ感じは
なくなっていたが、どこか無理して
元気に振る舞っているようにも見えた。
家康が、着替えてリビングに戻ると
お赤飯や茶碗蒸し煮物にお刺身に天ぷら
食べきれないほどの料理が並んでいた。
『す、凄いね・・・』と目を丸くする家康に
『えへへ、私も考え事してたら
気づいたら、なんかいっぱい作ってて・・
あっ、でも無理しなくて大丈夫ですよ。
煮物とかは、明日も食べられるし』
と、テヘッと言う表情で笑ったが
何かに没頭していたいと思うほど
色々と考えさせ、悩ませてしまった結果が
この料理の量になったのだと、家康は察した。
(ああ、やっぱり、悩ませてしまったんだな・・)
そう思うと、申し訳ない気もちになった。
『さっ!ご飯食べましょう!
夕飯は、いっぱい食べられる気がしてきた!』
と自分の席につこうとする桜奈の
手を掴み、抱き寄せる家康。
家康の胸にすっぽり包まれた桜奈は
『家康さん?どうしたんですか?』と
尋ねた。
苦しくない程度に、ぎゅーっと抱きしめて
桜奈の頭に頬ずりしながら家康は
『ごめんな、桜奈。今日一日
俺、浮かれて、舞い上がって、でも心配で
不安で、桜奈の気持ちをずっと
置き去りにしてた・・・』と謝った。
(やっぱり、気付いてくれる人なんだよね)
と思う桜奈だったが
わざと膨れた顔をしてみせ
『ほんとですよ!そんなに心配ばっかり
されたら、私、お家から一歩も出れなく
なっちゃいますよ。籠の鳥みたいな
マタニィティー生活なんて嫌です!
でも、私を想ってくれるからこそ
心配してくれてるのも、分かってます。
嬉しいです』とむぅっとした顔から
ふわりと微笑む桜奈。
(///本音は、閉じ込めておきたい
くらいだけどなぁー///)と思う家康だった。