第27章 〜番外編その4〜
嬉しくて、舞い上がっていた自分に
気づく家康。
『桜奈、ごめん。』と反省し
しゅんとする家康に
『だ、大丈夫だよ。心配してくれてるのは
分かってるから、それにちゃんと気をつける
私達のところに来てくれた、大事な命だもん。』
とにっこりと笑う桜奈。
『嫁の方が、よほどしっかりしてるな。
母になると、更に強くて、逞しくなるからな。
お前も置いて行かれないように、気を付けろ』
と、クスッとしながらそう予言する光秀。
『光秀さんは、置いて行かれてるんですか?』
と、逆に突っ込みを入れる家康に
ふっと笑うと『俺が、そんなヘマするわけ
ないだろう?だが、坊主には小夏は
俺のものだと、ちゃんと躾はしてるがな』
と、勝ち誇ったような顔をして、不敵な笑みを
浮かべた。
(俺と変わんないじゃん)と呆れる家康と
(小夏さん、愛されてるんだなぁ)と
目をキラキラさせる桜奈。
光秀と小夏は、小夏の大学卒業を待って
すぐに結婚した。
事故で一年休学したものの、薬剤師の
免許を取り、父の会社で経営の
勉強しつつ、新薬の研究にも携わっていた。
後継者として、頑張っている小夏と
光秀の間には、秀忠と言う今年3歳に
なる息子がいる。
小夏は光秀に嫁いだ形をとっているが
行く行くは、秀忠に徳川を継いでもらえたらと
考えているようだった。
そして、今年の秋に二人目が生まれる
予定なのだ。
『小夏は、仕事まだしてんの?』と
尋ねる家康。
足のことも考えると、やはり心配して
いるのだと桜奈は思った。
『ああ、もちろん。まぁ、今はまだ
大丈夫だが、仕事を休ませるのに
また、一苦労が待ってるけどな』
と、苦労と言いながらどこか嬉しそうな光秀。
逆境にあっても、努力を惜しまず
決して折れない精神力の強さに
光秀は、惹かれているのだろう
桜奈は、そんな風に思っていた。
桜奈から見ても、小夏の強さは
憧れずにはいられないからだ。
(やっぱり、かっこいいなぁ、小夏さんは・・)