第27章 〜番外編その4〜
『徳永さん、はい、楽にしてねー
ちょっと気持ち悪いけど、力抜いてねー』
婦人科の診察台だけでも恥ずかしい桜奈
だったが、モニターを見るように言われ
『見える?赤ちゃんの袋ができてますよ。
まだ、早くて、赤ちゃんはまだ確認できない
けど、妊娠されてますよ』と言われ
モニターに映る、小さな黒い豆粒のような
画像に釘付けになった。
(赤ちゃん、いるんだ!
家康さんとの赤ちゃん!)
ぶぁっーと、歓喜の波が奥底から
込み上げる。
診察を終え、診察結果を待つ間に
家康に連絡を入れると
丁度外来が終わった家康が
すっ飛んできた。
『桜奈!!ほんとに!』と
驚きと、嬉しさと、期待がごちゃ混ぜの家康の
表情は、やっぱり嬉しそうだった。
診察室に呼ばれて、家康と一緒に
入っていく桜奈。
女医の先輩は、家康をみて、げっ!と顔をし
『ほんとだー、溺愛、過保護の噂
マジだった・・』とやや呆れ顔になる。
『ほっといて下さいよ。で、今何週目?』
とそんなことより早く結果を教えろと
催促する家康に
きちんと身体を向き合わせて
『おめでとうございます。妊娠されてますよ。
はいこれ、尿検査と結果とエコーの写真ね。
今、5週目くらいですが、まだ胎嚢しか
見えないので、また2週間後に受診して
下さい。その時になれば、赤ちゃんの
心音も確認できると思いますよ』と言われ
桜奈と顔を見合わせ
よっしゃと、小さくガッツポーズする家康と
両手を合わせ口元に当て
わぁっと喜ぶ桜奈。
桜奈は、きっと男の子だと直感した。
(夢のあの子がきっとここにいる・・
ほんとに、会えるんだ!!)と
また、自分の下腹部を見ながら
愛おしいそうに、そっと撫でた。