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また、恋してくれますか。

第27章 〜番外編その4〜


『いいよ、気にしないで。体調がいまいちなら
ゆっくり寝てな。俺、適当になんか作るから
うどんとかなら食べられる?』

『うん、少しなら・・家康さんも
疲れてるのに、ごめんなさい。
ありがとう・・』と言う桜奈の
頭にチュッとキスをすると

『じゃ、準備して来るから
できるまで、寝ときな』と
桜奈をまた、ベッドに寝かせると
シャワーを浴びて昼食を作り始めた。

うどんのつゆを作りながら
傍らでネギやかまぼこを切る家康は

(貧血は、大丈夫そうだし
熱も高いわけじゃ無いし・・
喉の炎症もリンパの腫れもないのに・・風邪?
胃のムカつき・・・胃炎?
めまい・・起立性かな?)

症状にぴったり当て嵌まる病名を
脳内で検索するが、これと言うものは
ヒットしなかった。

(とりあえず、様子を見るか・・・)

若いからと言って、大病をしないわけではない。
若い故に、進行が早い病気も数多くある。

知識があるからこそ、もしかしてと
最悪を考えてしまうのは、職業柄
致し方ないのかも知れないが
どこかで、桜奈を失ったらと
湧き起こる言い知れぬ不安。

結婚した今でも、肉体的にも精神的にも
桜奈の変調は、家康の不安を
煽るのだった。

前世の自分が、徳川家康だったと
盲信しているわけではないが
栞の話からすると、若くして経験した
桜奈との死別は、徳川家康の心に
深い傷を残し、ある種トラウマのような
ものになったのではないかと考えられた。

(大丈夫だ、俺が徳川家康だとは
限らない、トラウマとかじゃない。
ただ心配なだけ・・・)
不安を、抑え込むようにそう自分に
言い聞かせる。

うどんのつゆのいい香りに誘われたのか
桜奈もトイレに起きてきた。
二人で向き合い、きつねうどんを食べ
始めた。
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