第26章 〜番外編その3〜
『はっ?何それ?』と言いながら
目元を赤くする家康だったが
桜奈が魂の中に自分の存在を刻み
忘れないでいてくれたようで嬉しかった。
『ずっと愛されてるってことでしょ!
このこの〜』と、肘で突き冷やかす栞。
『はっー』と深いため息を吐く家康は
『そんなの、言われるまでもないね!
それに、想いなら俺も負けてないしね』
とドヤ顔をすると、ふっと微笑んだ。
(そうだ、桜奈を想う気持ちが
俺を俺で居させてくる・・・)
『だね。それだけは私も敵わないや』と
にっと笑う栞だった。
(やっぱり、伝えて良かった・・)
そう思う栞だった。
宴がお開きとなり、夜もふけた頃
凛桜の部屋をそっと覗く栞。
帰ってきてから、バタバタとして
ゆっくり話はできなかったが
桜奈からのプレゼントも
渡すことはできた。
スヤスヤと眠る娘の枕元には
栞がお土産として買ってきた
コスメと桜奈がくれた
桜のイヤリングが丁寧に
置かれていた。
(よほど、気に入ってくれたのかも・・)
嬉しそうに微笑み、覗いていた栞だったが
背後から肩にぽんと手が置かれた。
ビクッとし振り返ると信長がいつの間にか
後に立っていたのだった。
『びっくりしたー』と小声で話す栞に
『遅い!!』と言うと、栞の手を引き
天守へと向かう。
『しっー』と指を口に当てると
襖をそっと閉め、手を引かれるまま
信長の後について行く栞。